番外編「稲荷と麒麟の二人旅」9

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
↓クリックのご協力をお願いします↓
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
にほんブログ村
コメント
コメント投稿

トラックバック
トラックバックURL
http://hamayaraworks.blog105.fc2.com/tb.php/101-b064064d
「でしょう!」
 背後から、張りのある声。泡を食って振り向けば、満足げに微笑む銀麒麟が一匹。
「なっ!? いつからおった!?」
「どうしたんですか目丸くして……ついさっきですよ。ひめさん目立つので、聞き込みをしながら足取りをたどったら……戻ってるんですもん」
「いや……まあそれは……うむ。すまん」
「? 何がです」
 不思議そうな表情。
「逃げて……悪かった」
 なんだか照れる。
 自分の耳が、萎れているのを感じた。
「ああ。私も驚かせたみたいで、ごめんなさい」
「それと、今日は……その」
「なんです?」
 根が善人なのだろう。全く気負いを感じさせない。
 こうして、彼女への憎しみや、嫉妬を捨ててみてみると、全くもって、良い奴に他ならない。
「我がままばかりの妾を、元気づけようとしてくれて……ありがとう」
「え」
 彼女が目を丸くする。
「な、なんじゃ! 別に礼ぐらい言っても構わんじゃろ!」
「いえその、意外で……ごめんなさい」
 意外とは全くもって失礼千万な話である。断固抗議したいところであるが……省みれば、まあおのずと悪いのはどちらか、見えてくる。どう考えても自分です。本当にありがとうございました。
 彼女とは、無駄にいがみ合う必要は、もうない。
 こんなに良い奴がそばにいるのだ。
「? どうしたんです? 手なんか出して」
 何も持ってませんと、彼女が肩で手をひらひらする。
「握手じゃ」
「……はい?」
 察しの悪い奴だ。サッシの悪い奴ではない。それでは窓枠の建てつけが悪い奴のようだ。大きな違いとしては、サッシの悪いのは毎日ガタガタして容易には許せないが、察しの悪いのはまあ、許せるという点くらいか。
「仲直りの握手じゃ」
 彼女が、おずおずと手を握り返す。
 歴史的和解の瞬間であった。

NEXT ↓クリックのご協力をお願いします↓
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
にほんブログ村
コメント
コメント投稿

トラックバック
トラックバックURL
http://hamayaraworks.blog105.fc2.com/tb.php/101-b064064d
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。