「黒竜海峡冬景色」7

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 どこまでも雪が降り続き、視界は灰色に染められている。アルガムジは遥かかなたに消え、前方にはうっすらと街の明かりが見え始めていた。
「北域大陸……か」
 向こうで言うロシアにあたる地域である。
 どうもこちらではこの黒竜海峡と、西の山脈向こうの大瀑布を挟んだ東バルト海峡によって、あちらは切り離された大陸となっているらしかった。ちなみに、黒竜海峡は「海峡」と名がつくものの、淡水であり――その人工的とも思える海峡沿いの垂直な崖から、世界七不思議に数えられているらしい。大瀑布には古代に作られたと思しき船舶用昇降機があるらしくそれが更なる不思議を呼ぶとしてミステリーハンターに有名らしい。
 途中の停車駅でオプショナルツアーに参加すればそこが見れるということで、ひめは若干気になっているようでもある。
「東域はなかなかじゃったのう。北域はさて、どのような世界か。楽しみじゃの?」
「ああ。ワクワクするな」
 ひめがうんちくを語り始める。港湾都市であるベルテクを含めた南部地域を抜けると、万年雪と氷に支配された大地となるらしい。今一つ想像がつかないが、あちらより寒いらしいというのはわかった。
「じゃあ、あれだ。冬服を仕入れないとな」
「うむ……それで、お主を待っておったのじゃ。一緒に買いに行こう、な?」
「そうだな、いつもすまないな」
「それは言わない約束じゃろ?」
 しかし、ミリルとの同行中に、改めて自分自身のヒモっぷりに自責の念を抱いたのである。なんとかして少しは稼ぎが得たいが……どうしたものかね。
「……」
「どうした? 黙って」
「いや、うん。何でもない」
 言えば、また気を回されるだけだろう。こればっかりは自分で何とかしなくては。
「……お隣、よろしいですか?」
 背後から急に声をかけられ、少々たじろぐ。心臓を二・三個消費してしまったじゃないか。
「え。ああ構いません」
 ひめが少し嫌そうな表情をする。
「まあ、あれじゃ。時間はたっぷりある」
「? どうしたんだ?」
「なんでもないわ」
「そうか」
「……お兄さん方、どちらからお越しです?」
「妾達は! 日元から来たのじゃ」
 ひめが強く言う。いや、別にそんなに警戒しなくとも……と思わないでもないが、まあしばらく淋しい思いをさせてしまったからな。
「お兄さん、そんな装備で大丈夫ですか?」
 寒いでしょ、という調子で聞く。まさにその話をしていたところだったんだが。
「いえ、そろそろ北の装備を買おうかと」
「ああ。でしたら! 私はいい店を……」
「え、ええと……」
 ちらとひめを見ると、窓ガラスを拭いて、遠くを見ていた。ふてくされている。うーん……
「折角だけど、その」
「……そうですか、残念ですね」
 ふん、と息を吐く。なんなんだ? こいつ……
「それで、お兄さん方はどうして旅を?」
「ああ。俺は、ほら……ええと、この子のお供、みたいなものかな」
 背後でひめが少し体を揺らし、こちらへ寄りかかってきた。
 背から、彼女の少し高い体温が伝わってくる。
「へえ……」
 目を細める少女に、
「ええと。君は?」
 申し訳、とばかりに尋ねた。

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