異世界の歩き方11

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 ひめは、二人分の旅費程度の蓄えはあるそうだ。なんでも彼女の母が生前に、この国を捨てて世界を旅しようと溜めたものらしい。
 念願かなわず、事故で命を落としたのだという。
 そんな大事な金を、使っていいのかと聞いたら彼女は、自信満々に「金は使うためにある」と答えた。
 そりゃあ、そうだろうけどな。

 で、
 大きな門の前。
「着いたぞ。ここが我らが同族の本拠。稲荷山じゃ」
「はあ……なるほどね」
 京都府稲荷山である。向こうでも稲荷神社の元締めだ。
 ここに来たのは、彼女なりのけじめだった。
 神社を捨て、旅に出たい。それを種族の長に伝えるためこうしてここに来たのだ。
 ちなみに今の族長は9本の尾をもち、これはなかなか珍しい尾の本数らしい。何か、某忍者漫画を思い出さぬでもない。少年期編しか読んでない。
「では、行ってくる」
「一人で良いのか? 怖くないか?」
「何を恐れることがあろう」
「ハンカチは、ティッシュは持ったのかい? トイレには? ほら、背筋を伸ばして……」
「お母さん!?」
 実際、族長に会いに行って旅の許可を得るなど、なかなか恐ろしげな話に聞こえる。
 彼女もこうして強がって――もしかして、開き直っているのかもしれない――こそいるが、萎縮しているのか昨日は列車の中で、三河県(向こうで言う愛知県だ)を過ぎたあたりから押し黙り、逆に京都駅前のビジネスホテルでは、消灯してからもやたら饒舌に喋りまくり、ようやく寝息を立て始めたのは三時を回った頃だった。
「怖くなったらいつでも帰っておいで」
 よしよしと頭を撫でてみる。
「過保護じゃ!?」
 彼女の目が真っすぐに俺を見る。
「大丈夫じゃ。お主はここいらで、まあ待っておれ」
「わかった」
 ここまで言うのだ。これ以上ごたごた言うのは野暮だろう。一言だけ返し。
 あとは黙って、彼女の大きな目を見つめる。
「じゃ、な」
 ふわりと髪をふくらませて彼女は向き直り。
 ひらひらと手を振って、ひめは門へと歩いて行く。
 もう誰も、誰にも行く手を阻ませない、そんな強い足取りで。

 が、数秒後門番に誰何され、挙動不審になっていた。

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