「北の国にて」6

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「と、いうお話だったのさ」
 彼女が両手を見せる。ゆっくりしていただけただろうか。
 要約しよう。
 このベルテクの町は、烏孫との貿易を握る名士が実権のほとんどを握っているらしい。彼ら一族はこのエリアを支配する自治共和国政府や連邦政府自体にもコネクションを持ち、この町において彼らは王のようにふるまうそうだ。全くお山の大将もいいところである。
 で、彼女はその元当主の息子に犯されかけ、抵抗してけがを負わせたのだという。大変勇気のあることだが、町の人々からはそれで村八分――いや、この場合は町八分にされているのだ。
 というのも、彼女が単に暴力を振るったということになっているそうで、彼女の証言は全てうそ扱いを受けるのだそうである。ちなみにこの店のオーナーや取引先は別の町の人間で、故にこそ彼らに対するしがらみもなく彼女が辛うじて生活していけるのだと聞いた。
「……そりゃ、きついな」
「だろ、だからさ」
 手を出してくる。
「なんだよ?」
「チップ、弾んでくれないかな? 生活が厳しいんだ」
「強いなぁあんた」
 したたかに生きているようで、何よりだ。
「そりゃ、後悔してるばかりじゃ飯も食えない」
 かかか、と歯を見せる。まあ、そういうがっついた生き方は嫌いではない。というよりさばさばしていて好感が持てるほどだ。
「けど、チップはやれないな」
「え」
 唖然とした顔である。
「なんでさ」
「俺は金を持ってないからだ」
「……ありゃあ。あちらさんが」
 ウレノワがひめのほうを見る。ひめは、話を聞いてはいたようだが――そ知らぬ態度を決め込んでいるように見えた。
「ちぇ。読み違えたか」
「残念だったな?」
「本当になー……ま、忘れてよ」
「おい、主よ」
 背後からの声で、会話はさえぎられる。
「これなぞ、おぬしに似合うのではないか?」
 ぐい、とマフラーを押し付けてくる。
「良いのか? 結構高そうだけど」
「凍死でもされてはかなわぬからな。いいものでなくては」
「すまないな」
 ひめが、照れたように顔を背ける。
「か、会計じゃっ!」
 叫ぶひめの言葉を聞き、本当にいやそうな表情をしながら、ウレノワがカウンターへ歩み寄るのだった。

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