異世界の歩き方26

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 嘘にしては話が詳細までリアル、それに大げさが過ぎる。
 そんな疑いを向けたくなるような内容だったのは確かだ。
 彼女の語ったところによれば、両親は自動車事故で亡くなったらしい。このホテルは父のものだったそうだ。
 すぐさま彼女は学校をやめ――この国での義務教育は一二歳までだ――ここを継いだ。しかし折悪く不況の波が押し寄せ、給料を払えなくなった。社員たちは蜘蛛の子を散らすように消えていったそうだ。
 そして、現在に至る。
 経営は厳しく、毎日ああして中州まで営業に行っているそうだ。
 そんな話をしながら部屋を見せてくれた。
 一番きれいな部屋だというその部屋は、まあ普通のビジネスホテルくらいのものであった。
「これなら、別に問題はないな」
「うむ……まあ、うむ」
 ひめの視線が一点に注がれている。シングルベッド。
「……あれ? 一つしかないんだ」
「あ。はい。もう一部屋用意いたしますか」
「いや!」
 大きい声だった。彼女自身も驚いたのか目を白黒させて、
「これからのことを考えると浪費もできぬ。これで良いじゃろう」
 もっともなご意見である。余計な出費を招いている当人だけに反論のすべなしといったところだ。する必要もないが。
「まあ、俺はソファに寝れるしな」
「む」
「それでは、明日の朝食は七時より二階食堂となっておりますので……」
 言いながら、さくらが下がっていく。
「わたくしに何か御用などありましたら、二階までお申し付けください。それではごゆっくり」
 音を立てずドアが閉められ、ひめと視線を交わす。
「立派だな」
「そうかのう」
 ひめも残されたものを必死で守ろうとしていた。
「それよりお主よ、ソファで寝ると申したな」
「ああ。床でもいいけどせめてソファで寝させてくれるとありがたい」
「ベッド、半分使ってかまわぬぞ」
「……いいのか?」
「うむ」
 顔がほんのり赤い。恥ずかしいなら別にソファでもいいんだがな。
 しかしまあ、思い返せば彼女は最初からとても優しかった。きっとそういう性格なのだろう。他人に無条件で優しくできる。そして、自分を顧みない。本当、立派だ。
「安心してくれ、変なことしたりしないから」
「それはとっくに信じておる」
 それもそうか。
 少しの沈黙を挟み、
「さて、風呂でも行くか。大浴場は一階だな」
 ソファから立ち上がる。
「うむ。参ろう」

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