異世界の歩き方30

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 チェックアウトを済ませ、驚くほどあっさりさくらと別れた後、博多港で乗船の列に並ぶ。
 パスポートと切符を握りながら、少し感傷的になってしまった自分を戒めた。
 旅人なら、別れなどは茶飯事であるのだろう。
 受け入れる側の彼女もそんなことには慣れ切っているはずで、そう言う面では彼女の方がよほど大人びている。全く恥ずかしい。
「……という顔じゃな」
「見事な推理だったよ、ひめ」
 しかも、そんな感情をひめに指摘されるという恥を上塗るおまけつきである。
「でも、一つだけ見逃していることがあるよ」
 サスペンス劇場終幕二分前、とらえられた犯人のように不敵な笑みを向ける。
「なんじゃと?」
 俺もまた、白木ホテルに踊らされた犠牲者の一人だったということ……ではない。
「俺は他にも考えていることがあったのさ」
「そ、それはなんじゃ? まさか、あやつのところにのこ……」
 ひめが俄かに蒼白になる。
「お前でエロい事考えてた」
「なんじゃと!?」
「え、具体的には……」
「言わんで良い!」
 前を見る、並んでいるのはあと三人となった。しばし日本……日元と別れである。
「俺達の冒険は、まだ始まったばかりだぜ」
「何かその言い回しに縁起のわるさを感じるのは妾だけか……?」
 軽口をたたきながら、二人揃って港の方をちらりと見る。見納めだ。
「む」
 ひめが目つきを鋭くした。視線の先には
「あ。さくら」
 彼女はこれでもか、これでもか、といった具合に全身で手を振っていた。
 俺達が気づかないから随分気をもんだのだろう。
 軽く手を振り返してやる。
 すると、彼女は振り返って背を向けた。
 そうして、顔だけをこちらに見せて笑う。

 尻尾が、なかった。

 見てください、私は大人になりました。
 そう言われているような気がした。

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