異世界の歩き方35

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「「乾杯!」」
 もはや何度めの乾杯であるか分からない。
 男は、柴田と名乗った。
 何でも資産家の息子で、彼の家があるこのマンションは、一棟丸々彼の持ち物らしい。リア充爆発しろ。と思いそうになるが、驚きの太っ腹さで嫌味を感じさせない。やーい、太っ腹。
「どうだ。うんまいだろ」
「ああ、うまいなこれは」
 言いながら、水餃子をすする。
 巨大な食卓には、こぼれんばかりに盛り付けた中華――清華? 料理が何皿も置かれていた。
 しかもどれもうまい。ときている。
「急だったのに、よく用意されてたな……」
「ああ、それは俺が毎日客人を連れてくるからだな。なあ」
「は、はい旦那さま」
 少しどもりながら、彼の妻が答える。
 どうも、この二人の関係が通常の夫婦には見えなかった。
 どちらかといえば、主人と召使という間柄の方がしっくりくる。
 彼女はひめによれば、花魄という種族らしい。
 緑の肌に、頭の左右に付いた大きなつぼみ。童女に見えるところは奴の趣味であるとして……植物系の種族だと言っていたが、どう見てもアルラウネです本当にありがとうございました。
 植物娘が野菜をふんだんに使った料理を展開してくることに若干のミスマッチを感じなくもないが、まあそんなものだろう。せいぜい俺が猿の脳みそを食べたりひめが狐を食べているようなもので……いや、ないな。それはないなさすがに。
「どうだ、良い女だろう私の妻は」
 誇らしげに彼が胸を張る。どうにも態度からして愛妻家には思えないのだが、あれか。ツンデレか。男のツンデレは見苦しいぞ。
「べ、べつにこんな嫁さんがいたら幸せだろう、なんて思ってないんだからね!」
「それ、あの日元で流行っているっていうツンデレ?」
「べ、べつにツンデレなんかじゃないんだからね!」
「おお、すげえ生ツンデレはじめて見た!」
 ――お前はそれで良いのか?
「旨いのう……」
 ひめも嘆息ひとしきりである。彼女だけはソフトドリンクということで、烏龍茶をちびちびと飲んでいた。
「あなたは旦那さまへ料理を作らないのですか?」
 柴田妻がひめへ聞く。
「妾はのー……」
 答え辛そうにひめがこちらを向く。助け舟を出港させてやるか。しかし目的地に着くのは遠く先のことになりそうだ。何しろ十四万八千光年の旅だからな。正直実写版は思念体とかガラス状生物とかレベル高すぎだろ、と思いました。どこで萌えればいいのやら。
「むしろ俺の方が作ってるよな、ひめ」
「そ、そう。こやつの飯はうまいでな!」
「どのような料理をおつくりになられるので?」
「コスモクリーナー的な、うん。イスカンダル料理……いや、そうだな。まあいろいろ作るよ。おつまみからスイーツ(笑)まで」
「すごいですね……甘味までおつくりに」
 尊敬のまなざしが突き刺さる。
「ああ。頑張っている自分へのご褒美だからな」
 ひめから絶対零度の視線を受ける。空気すら凍てつかせる波動だ。いや、そんなに怒るほどひどいネタでもないと思うんだ。むしろ下ネタを一切出さない紳士な俺を誉めてほしいくらいだ。
 しかし、このまま凍てつく波動を受け続けた場合俺の三段階変身が解かれてしまいそうなので、ひめへ媚を売る発言を実行することにする。
「ひめにも今度作ってやるからな」
「う、うむ。まあお主の料理は妾の為のものじゃからな」
「そうだなー、おれのりょうりはおまえのためのものだからなー」
「棒読みじゃ!?」
 何とか媚をお買い上げいただいたようで、お客様こと神様のひめが尻尾を少し下げる。む……
「あれ、ひめ腰になんかついてるぞ」
 むぎゅ。と尻尾を掴む。振られているそれに引力を感じてしまったのだ。
「ひゃっ、いきなり何をするか!?」
 他の尻尾で手をはたかれる。相変わらず器用だなそれ。
「腰にぶら下がっているものを見るとつい触りたくなるんだよね」
「いやらしい!?」
「待てよ、今の流れは俺がガチホモな感じに……」
「気づいていなかった!?」
「え、俺はつまり自分でも気づいていなかっただけで実は男色家だったということなのか?」
「妾に聞くな!」
「まあ、俺はひめにベタ惚れだからガチホモなわけないけどな」
「ぎゃあ!」
 的確に彼女の尻尾が金的を穿った。ちょっとしたジョークだったのにな。
 這うように席へ戻った俺に、柴田は少々及び腰で。
「あんた、男色家なのか?」
「違うわ! お前までジョークを真に受けるのか!? ちょっと頭硬すぎだろ。日能研当たりで四角い頭を丸くしてもらえよ。もしくは床屋で頭丸めてもらえよ」
「坊主フェチなのか……」
「俺の話聞いてたか!?」
「いやまあ、違うなら良いんだ、違うなら」
 ははは、と乾いた笑い。そして彼はひめと、柴田妻の方を一瞥し。
「しかしあんた、なんでまた料理もできない女なんか?」
「別に、パートナーに必要なのは料理の腕だけじゃないだろ」
「……は」
「なんだよ」
「ははは! いや、思った以上だ。今日はお互い楽しい夜だな!」
 なんだよ気持ち悪いな。俺の方見て笑いやがって。
 は……ま さ か?
 括約筋を活躍させ始めた俺を見て、彼は怪訝そうに眉をひそめるのだった。

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