異世界の歩き方36

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
↓クリックのご協力をお願いします↓
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
にほんブログ村
コメント
コメント投稿

トラックバック
トラックバックURL
http://hamayaraworks.blog105.fc2.com/tb.php/42-ff0429b8
 括約筋の見せ場はなかなか来ず、先に筋疲労により弛緩の運びとなった。
 具体的にはクレアチンリン酸系、解糖系、有酸素系の代謝経路を使い、やがてATPの不足により筋疲労第三相へ至ったわけだが、なぜそれに具体性を持たせたのかは神のみぞ知るセカイである。
 で、
 宴もたけなわ。ひょんなことから俺が料理の作り方を教えてほしいと柴田妻に頼むと、待ってましたとばかりに彼女は快諾をした。
 ひめが美味しい美味しいと言っていたことだし、まあ知っておくにこしたことはないだろう。というよりぜひ知りたい。
 彼女について厨房へ向かう。
 ちなみに、ひめはソファで寝息を立てていたのを、俺と柴田氏で客間へ輸送した。
 なお柴田氏は居間で酒を飲みながら舟を漕いでるのを放置してきた。
「いいのか、悪いな」
「ええ。旦那様からもそう仰せつかっておりましたし、いつものことですから」
「そうか……随分とまあ、料理に熱心な客が多いんだな。さすがは食の大国だな」
「……?」
 少し首をかしげて見せる。食の大国などと言われても、確かに住んでいる側からしてみればよくわからないだろう。
「で、なんだが……」
 手帳を開き、挟んでいたペンを指先で回して、握る。
「まずはあの水餃子だ。いいかな?」
「え。ええ」
 少し、彼女はどもった。
 しばし、料理話に花を咲かせる。
 俺が手帳にレシピをまとめていると言うと、彼女も料理ノートを持ち出していろいろと教えてくれた。
「なるほどね。こりゃ確かに簡単だ。うん……あいつもお粥気に入ってたしな……ありがとう、えーと」
「わたしは、凛と申します」
「そうか、ありがとう凛」
「優しいですよね、あなた」
「まあ、俺の優しさは神すら片手でひねりつぶすほどだからな」
「……優しいんですよね?」
 それ、俺に聞いちゃうのか。
「真人なのに、亜人に優しいなんて。日元ではそれが普通なんですか」
 痛いところを突かれた。日元の普通なんて、高々ひと月程度しかいなかった俺にわかるだろうか。さっぱりである。
「まああれだ俺はほら。変人だからさ」
「そうですか。でも、わたしはそういうの、すごく素敵だと思います」
「そ、そうか」
 少しずつ、彼女が近付いてくる。
 ひめと同程度に小柄だが、なぜかこの子には独特の陰があり、それが色っぽさを感じる。まあ、既婚者だしな。
「羨ましいです、ひめさん」
「何が」
 また一歩、間合いが詰められる。
 後ずさろうとするが、後ろは壁だった。
「なんで、わたしはこんなところにいるんでしょうね」
「そりゃ、柴田の嫁だからだろ」
 じりじりと、距離が詰まる。
 もう、身体の触れそうな距離だ。
「旦那様は、優しくなんかありません」
「それは、えーと、なんていうか、残念だな」
 胸が、腹に当たった。
 そのまま、擦るように、彼女が背伸びをする。
 近づく瞳、強い視線に目をそらせない。
「ええ、ですから」
「……っ」
 息が鼻にかかったのを感じる。唇の動きすら、目を閉じても分かりそうな距離。
 伝わる熱に、囚われたように動けない。
「わたしを……」

「わたしを、連れ出してください」

NEXT ↓クリックのご協力をお願いします↓
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
にほんブログ村
コメント
コメント投稿

トラックバック
トラックバックURL
http://hamayaraworks.blog105.fc2.com/tb.php/42-ff0429b8
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。