異世界の歩き方「セリカ・シンドローム」3

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 市内観光をしたい。というひめの主張で駅前の観光会社に入店する。
 カウンターでベルを鳴らすと、はいはーいと野太い返事。出てきたのは「狸親父」を絵にかいたような体格をした、狸の親父だった。
 顔までしっかりと狸である。二足歩行している喋る狸、とでも言えばいいだろうか。
 彼は、ひめを見ると眼を細くして、
「おや、日元からのお客さんですかー」
 と間延びした喋りで聞く。
「うむ。あなたは……」
「私も日元人ですよー。従軍したんですが、戦後居ついてしまいましてねー」
 ははははー、と笑う。
 悪いことを聞いてしまったんじゃないだろうか、という目でひめが助け船を求めるようにこちらを見た。慌てて助け船をあつらえて出港させる。
「いやー、料理がおいしくて、離れられなくなりましてねー」
 助け船は引き返した。
 とうとうと、彼が思い出話を語る。
 俺はというと、軍隊狸という民話を思い出していた。
 四国出身の狸が日露戦争に参戦。ロシア軍司令官の手記に「撃っても倒れない赤服の日本兵」との記述があったという話だ。なるほど、軍隊狸ね……
 脳内で彼に赤い軍服を着せてみる。うん、なんだろうなこれ……冗談みたいな感じだ。こんなのに攻められたらさぞロシアの将軍もやりきれなかったろうと同情したくなるほどである。
「ああっと!」
 出し抜けに、彼が素っ頓狂な声を上げる。
「忘れていましたねー、そうだ。お客さんでしたねー」
「ええー、そうですー」
「お主、うつっとるうつっとる!」
 ひめが服を引っ張る。おっといけない。
「どんなご用件でしょうー?」
「ええとじゃな。市内を観光したいのじゃ……紫禁城とか万里の長城とか」
「わかりましたー。少々お待ちをー」
 をー……と伸ばしながら、のそのそと彼が奥へ引っ込む。
「良い人そうじゃな」
「そうだな。俺の方がいい人そうだけどな」
「なぜ張り合う!? というかなぜ客観的!?」
「いつだって俺は良い人そうだって、近所でも評判さ」
 一見いい人そうなだけで、中身は(自主規制)だけどな。
「やあやあー、お待たせー」
 再びゆっくりと俺達の前に姿を現した彼は、背後に人影を伴っていた。
「うちのエースガイドだよー。彼女の方が私より詳しいよー」
 彼が示す先で、人影が頷く程度に軽く会釈をする。
 俺は会釈を返しながら、エースガイドってなんだ……と考えていた。

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