異世界の歩き方「セリカ・シンドローム」8

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 暫し長城の上を歩く。視界はどこまでも山が広がり、大陸の雄大さを感じさせる。
 その果てしない地平を縦一文字に貫くように走る城壁という光景は、まるで異世界へ紛れ込んだかと錯覚させるようなものだった。いや、異世界だけれども。
 ひめは、身長の低さのせいか胸壁の高さのせいか、景色が良く見えていないようでぴょんぴょんとびはねている。元気なことだ。
「むううー……」
 うなり声。やはり見えないようだ。どこか見晴らしのよさそうな場所はないか、と周囲を見回す。
 ――あれが良いな。
 近場の楼閣の中で、少し高めのものを見つける。
「ひめ……」
 振り返ってひめを見……あれ?
「消えた」
「いやいや。目線が下過ぎっすよ」
 言われ、怪訝に思いつつも目を上にやると。
「おお! おお! 良い眺めじゃのう!」
 幅十数センチほどと思しき胸壁の上に器用にバランスを取って立ち、両手を額に当てて夢中で景色を眺めている。
「危ないぞ!」
「何がじゃ? おおっ!?」
 慌てて彼女がスカートの端を押さえる。いや別にそういうラブコメ的な意味で言ったんじゃない。そういうの求めてないから……とまで言うと嘘になるかな。
「見えよったか……?」
「いやあ? 別に」
 ちなみにショーツの色が薄ピンクであったことは秘密である。宇宙怪獣との約束だ!
 普段から彼女の荷物の中に入った状態でしばしば目には入っていたが、うむ。生はまた別の……はっ!?
「それより、危ないっつうのはその場所だ。落ちたらやばいぞ、多分」
 骨の一本くらいはもっていかれそうである。打ちどころが悪ければ最悪の事態だってあり得そうなくらいの高さはある。
「ふん。お主と違って妾はバランス感覚に優れておるのじゃ!」
 言って、くるりとターンして見せる。
 思わず目をつむってしまいそうになった。
「ほれ見い、大丈夫じゃろう?」
「頼むからやめてくれ。心臓に悪い」
「まだ言いよるか……」
 ひめが片足で立つ。揺れてる揺れてる!
「ほうれ、問題ないじゃ」
「あ」
 一陣の風が吹き、ひめの言葉は途中で途切れた。遮るようにシャオの声。
 ぐらり、と彼女の身体は弧を描き――

 俺はばね仕掛けのように飛び出した。

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