異世界の歩き方「でも麒麟さんはもっと好きです」4

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 離れや蔵を備えた彼女の家は、物語に出てくる旧家や名家を連想させるものであった。
 しかし、その大きな家は今はすっかり荒れ切っている。門の裏には雑草の生い茂る庭園が広がり、母屋は彼女の資質を除いて殆どが、埃の層に覆われている。まるで雪が降ったかのように幻想的な、汚い光景である。むせる。
 三人で一通りの掃除を終えると、ひめは疲れたのか床で眠ってしまった。
 それを抱きかかえて、先ほど往時の壮麗さを取り戻した客間へと、花梨の先導で向かう。
 とても良い匂いであり、端的に言えば興奮する。
「お主、いかんぞ……」
 花梨が振り返り、寝息を立てるひめへ鋭い視線を浴びせる。
「眠っている時まで、俺は怒られてばかりだ」
 肩をすくめながら言うと、彼女はくすりと笑った。やった! 受けた!
 ぬか喜びもつかの間。
「そのような性悪勘違い女にたぶらかされるなど、いかんぞ……」
「へえ……」
 ジト目になる。ジトーっとした目である。べとーっとした舌でなめられる方が好みである。具体的な部位の話は伏せさせていただこう。
「ひめは、俺っていうおもちゃが取られるのは相当不愉快らしいからな……」
 全くまだまだ子供だな、と胸を見ながら思う。つるーん、ぺたーん。
 今まで何度も、ひめが旅の途中で知り合う女性たちに噛みついていったことを思い出す。もはや狐というより狂犬だな。やだ、こわい。
「……」
「なんだよ、その含むところのありそうな目は」
「いえ。まあわざわざ敵に塩を送る必要もありませんしね」
「? 今なんて?」
「何でもありません」
「敵に塩を送るのは駄目だけど、敵に塩をかけるのは良いのか?」
「聞こえてますね!?」
「? 今なんて?」
「嫌がらせですかっ!?」
「俺を疑うのか、お前の将来の伴侶となる可能性がゼロではない俺を」
「す、すみませんあなた」
「当然嫌がらせに決まってるだろ」
「最低です!」
 そっぽを向いてしまう。あれ、これはこれで可愛いな。ふふふ。これはあれか、モテキってやつか。人生に三度だけ訪れるという黄金期……ゴールデンタイムですねわかります。俺始まったな。
 ひめをベッドに降ろし……ん。こいつ……
 ぎゅう、とひめが俺の服を掴んでいる。おいおい。
「んっ……」
 手をほどこうとすると、彼女はいやいやと首を振る。しょうがないなあ、こいつ。
「あれ、お戻りにならないんですか?」
「……これじゃあな」
 指をさすと、花梨は一瞬眉根を寄せてから、やれやれだゼ、という体で苦笑い。
「お供します。あなた」
「……そうかい」

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