異世界の歩き方「でも麒麟さんはもっと好きです」6

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
↓クリックのご協力をお願いします↓
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
にほんブログ村
コメント
コメント投稿

トラックバック
トラックバックURL
http://hamayaraworks.blog105.fc2.com/tb.php/76-fdbff104
 新聞を誰が持つかでまたひと悶着を起こし、結局三分割してバラバラの新聞を居間まで持ち帰ったのは尺の都合上割愛する。
 ようやっと記事を読み始めたのは、新聞投函から十数分は過ぎようかという頃だった。当然のように左右にはぴったり彼女らがくっつき、暑苦しいことこの上ない。だが悪い気はしないというのは男の悲しい性である。性フロンティアである。佐賀フロンティアではない。佐賀はフロンティアかもしれないが。ややこしいな。
「どれどれ」
 見出しには聞きなれないニュースが並んでいる。衛星国でデモが起こり清華国軍へ出動が要請されているとか、江沢首相が再訪日を視野に入れたとか、定例の亜人対策実務者会談が行われたとか、割とどうでもいいものばかりだ。
「あまり面白くないのう」
「だな」
「いけませんよ、新聞を読まないなんて」
 花梨が口をはさむ。
「いや俺ら別にこの国とはあんまり関係ないしな」
「そうじゃな。更に言えば日元のことも割とどうでもいい」
 うん。まあ俺達はこうだな。ひめはあの国が嫌で飛び出した節があるし、俺はそもそも忘れられがちだけど異世界人だし。異世界人だし。大事なことなので(ry
「そ、それは、そうかもしれませんがっ……」
「大体、新聞が真実を書くとは限らないからな」
「うむ。奴らはいつだって権力者の味方じゃ」
 なんかいやなことでもあったのか、お前は。
「……で、でもですねっ」
「ん」
 ちらと花梨の方を見て、記事の一つが目に飛び込んだ。
「おお」
 視線を追ったひめが指をさす。
「はい?」
 彼女が見たのは、
「えええええええっっ!?」
 その記事には「皇河旅客、脱税容疑で社員を拘束」というものであった。別件逮捕だ。別件逮捕とは本来の取り調べたいこととは別の名目で逮捕、拘束することである。
「脱税もくそもな。ひめ?」
「うむ。ここ数年ずっと赤字だそうじゃからな」
 で、彩香が旅行者に嘘をつく必要などはないわけだ。随分とまあ徹底した情報統制である。よほど鉄道事故が表に出てほしくない理由でもあるのか。
「のうこれ、ここもやばいのではないか?」
「? なんで……ああっ」
 思い当たる節など……あった。
 天津発北京行き列車。検札。出発前に確認されたのは、切符と……
「身分証!」
「じゃろ?」
 当局が口を封じるとすれば、身分証をもとに被害者の家族を探すだろう。
 その時である。

 ぴんぽーん。

 間抜けな音で、チャイムが来客を知らせる。
「……」
「…………」
「………………」
 三者一様に黙り込む。やばくね? 視線は語っていた。やべえよマジやべえよ。

 ぴんぽーん、ぴんぽーん。

 粘り強い性格の方のようだ。
 ひめが、旅行鞄を抱き寄せた。花梨は財布をポケットへつっこむ。
「裏口とか、あるか?」
「え? ええ。そちらでしたら裏通り側」

 ぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽぴんぽ……

「逃げるぞ!」
「うむ、トンズラじゃ!」
 ばばっと立ち上がる。後に聞いた話では、ひめは日元時代に逃げ脚を鍛えられたらしい。理由は推して知るべしだが。なお俺は、以前知人に宗教団体に連れ込まれ、監禁されそうになったところをスネークばりの隠密能力(影の薄さ)で脱出し、教祖の下着を盗みとったという猛者である。
 呆然としている花梨の手を引き、俺達は走り出す。この果てしない青春ロードを……

NEXT ↓クリックのご協力をお願いします↓
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ
にほんブログ村
コメント
コメント投稿

トラックバック
トラックバックURL
http://hamayaraworks.blog105.fc2.com/tb.php/76-fdbff104
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。