異世界の歩き方「でも麒麟さんはもっと好きです」10

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 翌日。
 花梨と別れてからおよそ半時間後。
 俺達は人の流れに入り、出国審査を何事もなく通過する。相変わらず呆気ない。
 ホームは各車両へ向かう乗客でごった返していた。
 その中を一人、作業着姿で帽子を目深にかぶった女が流れに逆らって進んでくる。
 彼女は堂々と俺達の乗車車両へ入っていった。さも清掃や点検という様子であった。
「うまくいった。案外度胸あるなあいつ」
 ひめに囁くと、うむと頷かれた。尻尾や耳から見るに、あまり虫の居所はよくなさそうである。
「どうした?」
「な、なんでもないぞ」
 と言う。しかしそのあと、小声で「久々に二人きりになれたというのにっ。なぜ奴の話など」とぶつくさ言っているのが聞こえてしまった。しょうがない奴だな。
「ひめ」
「ん? なんじゃ」
「お前、可愛いよな」
 頭を撫でてやる。あれだけ構って貰いたがっていたんだから、相手してやるべきだったな。反省する。
「なんじゃいきなりっ!?」
 尻尾が俺をはたこうと、掲げられる。
「いや、本当に」
「あ。そ、そうか。そうじゃろうな」
 しおしおと、耳と尾がしぼんだ。あら可愛らしい。
 しばらくそうしている。
「君ら」
 肩に手が置かれ、振り向くとしかめ面の若い男が、巨乳ブロンド美女と並んで立っていた。
 二人の服は、男のものが少しスーツ風にアレンジされている灰色の、そして女性の纏っているのは紛れもなく昨日、大使館で見た緑の軍服だった。連合帝国の官僚と軍人だろう。なぜ声をかけられた? 背筋が寒くなる。
「ナ、ナンデスカ」
 声が上ずってしまった。平常心!
「そろそろ列車が出るようだ。続きは部屋でやるといい」
 ひめが真っ赤になった。
「……へ? え、ええ。わざわざどうも」
 全く肩透かしもいいところである。
「いや、ああ。それと」
 立ち去ろうとしたところを呼びとめられる。刑事コロンボを、なんとなく思い出した。
「何です?」
「君らの連れ、手配されたようだぞ」
 新聞が手渡される。開かれていたのは少々悪人面の、花梨の写真が掲載された面だった。恐らく免許証か何かの写真だろう。なんでああも人相が悪く撮れるのか。
 いやそんなことより!
「まあ、別にどうこうしようとも思わない。行くぞ……何号車だっけ」
「六号車ですわ」
「そうだな。そうだった」
 などと会話を交わしながら、疑問を返す間もなくすたすたと離れて行ってしまった。
 残された俺達にできることはと言えば。
「……ばれてるじゃないか」
「そうじゃな……」
 と不毛なつぶやきを繰り替えすことだけだった。

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