異世界の歩き方「大草原の小さな包」4

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 世界最高級の列車。大陸横断列車であるクイーン号は、客室だけではなく、映画館や、数両を使用した世界中の名店が並ぶショッピングモール、スポーツジム、サウナ、吹き抜けを備えた大時計のある大階段……最後尾の展望車には屋上プールまで備えている。
 当然、食にもこだわりを見せ、食堂車は各階ごとに分けられ、さまざまなスタイルの食事が楽しめるよう工夫が凝らされていた。
 各店の前に飾られた、シェフたちの写真を見ると、やはりこの世界での一流と呼ばれるような人々なのだろうな、と感じる。
「ふうむ。今日はどの店にするかの」
「……本当、財力はありますよね。まあ私もですけど」
 ひめからの一両も使い果たし――あの鏡をひめが大事そうに抱きしめているのを、俺は何度も見た。使い方を間違っていると指摘するべきかが悩みどころだ――俺は彼女の財布を預かってはいるものの、絶賛素寒貧である。
 セレブ二人に挟まれ、何とも肩身の狭いヒモ男だ。
「面目次第もない」
 しおらしく、常に彼女たちに散歩遅れてついて行くこと数分、本日の夕食が決まったらしい。
 エスパナ料理。連合帝国エスパナ州の料理らしいが、パエリアなどが並ぶそれは、どう見てもスペイン料理です本当にありがとうございました。逆に考えれば、そのあたりがこちらで言うエスパナなのだろう。
 いそいそと店内に入り、注文。俺と花梨はサングリアを、ひめはトマトジュースを掲げ乾杯する。乾杯!
 ここ数日で分かったことだが、花梨はやたら酒が強い。
 乾杯とは杯を乾かすことと本気で信じ、実践している奴を俺は初めて見た。
「うむ。うまい!」
「……なあ、俺前から気になってたんだが」
 ひめに向かって身を乗り出す。キスできそうな距離まで近づいても、彼女は全く退かなかった。うん、すごいけども。
「ひめ、お前何さ……」

 どっ

 ぐらり、視界が揺れる。
 ひめを守るように、とっさにそのまま覆いかぶさった。
 そして、花梨に目をやる。
 手を伸ばす。
 花梨の手が触れ、触れ、そして掴んだ。
 そのまま引っ張り、ひめの横へ。
「冗談じゃないぞっ……」
 花梨は、真っ青になって目を瞑り、震えていた。
「いや……落ちる、苦しいっ……」
「落ち着け、花梨! 大丈夫だ。ここは平地だぞ! どこにも落ちない!」
 揺れは収まった。列車は停まっている。
「なんだったんだ……?」
「お。お主!」
 離れようとする俺を、ひめが掴んでいる。
「? どうした」
「あ、その……ありがとう」
「無事でよかったさ」
 言って、二人を立たせた。
 ひめの手は、とても……とても熱かった。

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