異世界の歩き方「大草原の小さな包」10

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「……なんだよこれ」
 列車まで戻ると、そこにいたのは数人のケンタウロスだけだった。
「あ、ミリルさんお疲れ様です」
「列車はどこへ?」
 そう、そうなのだ。
 明らかに、ここは先ほどまで列車が止まっていた場所である。
 が、どこを見渡しても、あれだけ大きかった三階建豪華列車が、影も形もない。
「どうしたんだ、これは?」
 ベルニクス氏が線路の上で立ち止まる。
 表情からは、わずかに困惑が見て取れた。
「ああ、それでしたら。先ほど若様の指示に従い解放いたしました」
「兄上ェ……」
「解放したら、すぐ出発したと?」
「あ。これはこれは、客人殿。その通りです」
 彼は目元にしわを寄せ、一段と険しい顔になった。
「……君、どうやら烏孫の対策官殿は、我々を放って逃げ出したようだ」
「え」
 どうやら、本気で怒っている。まあ、彼からすればわざわざ命を守ってやったのに、というところだろう。俺は単純にひめたちとはぐれたのが困りどころである。
「参ったな……」
「だ、だったら!」
 ミリルが声を張り上げる。
「列車がないなら私に乗ればいいじゃないか!」
 どこのマリー・アントワネットだよ。
「でも、流石に向こうは列車だぞ? 追いつけないだろ」
 目に見えて、ミリルが落ち込む。いや、その、悪気はないんだぞ?
「いや……そうでもないな」
 と、ベルニクスが口をはさむ。良い助け舟である。即ち、NiceBoatである。
「クイーン号は各停車駅で三日間滞在する。この国では首都と北方港で停車するから、モルシア連絡船まで十日はある」
「それだけあれば十分だ。いける!」
 自信満々である。屁の突っ張りはいらないのか。そうかそうか。
「私が送ろう。乗れ」
 乗れ、と言われても……
 先ほどまでは荷車で移動していた。あれなら何とかはなるが、生憎俺に乗馬経験はないのである。
「どうした……?」
 だ が 待 っ て ほ し い
 冷静に、冷静に極めて落ち着いた視線で彼女を眺めると……そう、可愛いのである。下半身は馬だが。
 俗に言う美少女である。美少女である。大事なことなので二回言った。下半身は馬だが。
 そして、その背に乗ることを、求められているのである。
 背に乗る、ということは、不安定なものだろう。いや、乗馬はしたことないから知らないが。
 そして、だ。
 姿勢の安定のため、彼女に抱きつくことも、いわば仕方のないことではないだろうか。
 いわば、仕方のない、ことではないだろうか。
 よしんば、その膨らみかけの胸を抱きしめてしまったとしても、それは不可抗力ではないだろうか。それはとっても嬉しいなって。
「ど、どうした。目が怖いぞ……っ!?」
「ああ、いや、なんでもない。じゃあ、乗らせてもらうぞ」
「んっ……」
「な、なんだ」
 ドキドキするじゃないか。そんな声を出されたら。
「いや、案外重いな……人を乗せたのは初めてだからな」
「そ、そうか」
 どことなく気恥しくなり、視線をそらす。彼女の方も、どこか宙を見ていた。
 足元に、熱を感じるという奇妙な状況で、

 俺の、烏孫での旅が始まったのである。

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